学部学科トピックス
【研究者紹介】「『脳卒中後うつ』の改善に挑む」 学科長 石田 和人 教授
本学の教員が、研究者としてどのような研究をしているかインタビューした「研究紹介」シリーズ。今回は学科長 石田 和人 教授です。
医療科学部 理学療法学科長 石田 和人 教授
◆専門分野
基礎理学療法学、神経生理学
◆研究テーマ
中枢神経障害に対する理学療法の基礎医学的研究
Q 研究内容について教えてください
脳卒中や脊髄損傷など、いわゆる中枢神経障害は、理学療法の主な対象疾患の一つです。私は、動物実験により中枢神経障害のモデルを作成し、その病態把握や理学療法の効果について、研究しています。最近では、こころの問題にフォーカスをあて、特に抑うつのモデル動物を作成し、また、脳卒中のリハビリテーションで問題となっている「脳卒中後うつ」に注目し、そのモデル作成および、それに対する理学療法などを検討しようとしています。
Q その研究を始めたきっかけを教えてください
もともと、理学療法士として、患者さんを対象とした臨床研究を行っていましたが、患者さんを対象とした研究だけでは、病態や治療効果のメカニズムに踏み込んだ検討に限界があることを知りました。それに対し、動物実験による研究では、体の中で(特に、脳の中で)どのような変化が起きているかについても検討できることを知り、研究としての面白さを感じ、自身で取り組もうと思いました。その背景として、特に名古屋市立大学の脳神経生理学教室で学ぶ機会が得られた経験が大きいと思います。
Q その研究が『未来にどう生かされてほしいか』教えてください
動物実験をはじめとする基礎医学的な研究は、それ自体でも興味深い研究分野ではありますが、その成果をヒトに応用し、臨床研究へと橋渡しするところに、その醍醐味があります。こういう活動をトランスレーショナル研究といいますが、実際に、私は、名古屋市立大学や名古屋市総合リハビリテーションセンターと共同研究を進めつつあり、脳卒中後うつの患者さんについてを研究対象とした研究プロジェクトに取り組み始めました。近い将来、動物モデルを用いた基礎研究の成果を臨床に生かし、少しでも、脳卒中後うつなどに苦しむ患者さんの福祉に貢献できればと思います。
◆高校生へメッセージをお願いします
大学は、自発的に学び、研究するところです。そして研究は、成績の良し悪しとは関係なく、真理を追究しようとする熱意こそが重要です。名古屋女子大学に入り、研究マインドを持った理学療法士をめざしましょう。
プロフィール
医療科学部 理学療法学科長 石田 和人 教授
1986年~1998年 名古屋市立大学病院 リハビリテーション部 理学療法士
1998年~2017年 名古屋大学医学部保健学科 助手~准教授
1995年~2005年 名古屋市立大学大学院 脳神経生理学 研究員
2003年 博士(医学)取得(名古屋市立大学)
2007年 アーカンソー医科大学(米国)に留学
2018年~2022年 豊橋創造大学 教授
2022年~現在 名古屋女子大学 教授