学部学科トピックス

2024.12.18
健康栄養学科

【研究者紹介】「女子大生に対するトレーニングと
BCAA(分岐鎖アミノ酸)グミ摂取の効果」 近藤 貴子 講師

本学の教員が、研究者としてどのような研究をしているかインタビューした「研究紹介」シリーズ。今回は近藤 貴子講師です。

 

健康科学部 健康栄養学科 近藤 貴子 講師

専門分野
生化学

◆研究テーマ
女子大生に対するトレーニングと
BCAA(分岐鎖アミノ酸)グミ摂取の効果



【動画】

Q 研究内容について教えてください

日本の女子大学生は瘦身傾向とともにサルコペニア発症率の増加が報告されています。
サルコペニア予防には、若年期から筋肉量を高めておくことが重要です。サルコペニアとは、加齢による筋肉量の減少および筋力の低下のことを指します。
筋肉量増加目的の先行研究では、過負荷なトレーニングや高頻度の分岐鎖アミノ酸(BCAA)の摂取が多く、一般化が困難であると考えています。実行可能性が高い自重トレーニングとBCAA摂取の併用が筋肉量および筋力に有効かは未知であるため、継続的な自重トレーニングとBCAAの摂取が女子大学生の筋肉量や膝伸展筋力を変化させるかを検討しています。
女子大学生を対象とし、BCAAを配合したグミを自重トレーニング直後に摂取する群 、BCAAのみを摂取する群、自重トレーニングのみを実施する群に分け、8週間の介入研究を行っています。2週に1回の頻度で体組成や膝伸展筋力などを測定し、サルコペニアの指標としては骨格筋指数を用いています。
BCAAは運動直後の摂取により筋肉たんぱく質の分解を抑制する効果があります。そのため、自重トレーニングとBCAA摂取の併用により筋肉量、膝伸展筋力および骨格筋指数が上昇することが期待されます。本研究の成果は、若年期のサルコペニアの発症予防につながると考えています。

 

Q その研究を始めたきっかけを教えてください

グミは市場拡大しているお菓子であり、特に若者の間で人気があります。手軽に摂取できることや多様な味や食感が楽しめるだけでなく、機能性を重視したグミもあり、多くの人に支持されています。
生化学研究室では、さまざまな栄養成分を含んだグミを作成し、その栄養成分の摂取効果を検討してきました。管理栄養士をめざし、本学の健康栄養学科で学んだ学生は、調理技術に長けているだけでなく、食品や栄養素の特性を理解し新しいものを開発する力に長けています。
生化学ゼミでは学生と卒業研究テーマを決めており、今年のゼミ生にどのようなテーマで研究が行いたいか意見を聞いたところ、筋肉量(体組成)に関する研究がしたいとの意見がありました。女子大学生にとって、サルコペニア発症率の増加が課題となっていることもあり、筋肉代謝に重要なBCAAグミを作成することとなりました。

 

Q その研究が社会にどう貢献されているのか、 または人々の生活にどうつながるのかを教えてください

高齢者の約15%がサルコペニアであると考えられており、サルコペニア予防は大きな課題です。
近年、サルコペニアは高齢者だけでなく、若年者でも増加傾向であるといわれています。
サルコペニア予防には、若年期から食事や運動により、筋肉量を高めておくことが重要となります。
今回の研究では継続可能な範囲での自重トレーニングとBCAA摂取で骨格筋量を高めることができるのかを検討しています。本研究の成果は、若年期のサルコペニアの発症予防につながると考えています。

 

◆高校生へメッセージをお願いします

健康栄養学科では、1年生から栄養素や食品について学び、調理技術も基礎から応用までしっかり身につけることができます。学んだ知識を活かして、自主的に研究する機会もあり、自分に合ったテーマを選ぶことが大切です。管理栄養士としての活躍の場が広いように、本学科でできる研究内容も多様です。受け身にならず、積極的に行動し、自分の興味に基づいて学びを深めましょう。

 

プロフィール
健康科学部 健康栄養学科 近藤 貴子 講師
静岡県立大学大学院生活健康科学研究科で博士号(食品栄養科学)を取得し、管理栄養士と臨床検査技師の資格を有する
現在は名古屋女子大学健康科学部 健康栄養学科で講師として勤務
教育活動は構造生化学、生化学実験を専門、研究は聴覚神経の分化を専門としており、現在は聴覚機能と腸内細菌叢の関係について研究活動を行っている