地域の人々の健康を守る
保健師を養成する
保健師課程の授業紹介(2)
前回に引き続き、保健師課程の授業密着の第二弾をお送りします。保健師となるために学生たちはどんな授業を受けているのでしょうか?
保健師課程の授業紹介(2)
3年前期「公衆衛生援助論Ⅰ」
この授業では、保健師が行う公衆衛生看護活動として、地域住民の健康増進のための政策・施策に向けた事業の企画や実施、評価の一連の過程を学修します。保健指導・家庭訪問・健康教育など、保健師が行う公衆衛生看護活動の基本となる理論を理解した上で、演習として家庭訪問のロールプレイや健康教育の立案・実施・評価などを行い、それぞれの活動をつなげて系統的に理解することをめざします。
下の写真は、生まれたばかりの赤ちゃんのいる家庭に保健師が訪問する「新生児訪問」のロールプレイをグループごとに行ったときのようすです。対象者の自宅を模した演習室で、実際の新生児のように首の座っていない赤ちゃんのモデルを使用しています。
保健師役の学生は母親役の学生に子育てのようすをヒアリングしたり、新生児の身体測定を行ったりしました。新生児訪問は、赤ちゃんの発育状態の確認と母親の心身のケアを目的としています。ロールプレイの終了後には、観察していた他のグループや先生を交えた意見交換を行い、ロールプレイ中の声掛けや所作によって新生児訪問の目的が遂行できるのか、改善点はどこかといったことを確認しました。
体重・頭囲・胸囲の測定などで、赤ちゃんの発育状態をチェックします。ペンライトや音の出るおもちゃを使って視覚・聴覚も確認します。
子育てについて気軽に相談できる人はいるか、今悩んでいることはあるかなど、母親のようすをヒアリングし、悩みについてのアドバイスもします。
次の写真は別の日の授業で、グループごとに立案した健康教育のためのイベントを発表しているところです。3つのグループがそれぞれ、3歳の孫をもつ地域の高齢者に向けた虫歯予防教室、メタボリックシンドロームの予防のための中高年向け健康教室、体力づくりをめざした高齢者向けの体操教室を企画し、他グループの学生を参加者と見立てて実施しました。
各グループが時間をかけて、理解してもらいやすい教材の作成、健康意識を高めてもらうための説明の組み立て方、体操を行う場合には対象者が取り組みやすい体操の種類やテンポなど、細かいところに気を配りながらイベントを立案、実施したことが感じられました。発表の後には、さらに効果的な健康教育となるよう、他グループや先生からのアドバイスがありました。
平均より子どもの虫歯の多い地域を想定し、孫を預かることのある高齢者を対象としたイベントを実施。模型を使って仕上げ磨きのポイントを指導しています。
地域の商店街で店を営む中高年を対象としたイベントです。メタボリックシンドロームの原因や予防の大切さを説明しています。また予防につながる体操も行いました。
イラストや、見やすい大きな文字を使った教材を作成し、説明に使用しています。高齢者対象の体操教室なので、無理なく行えるよう体操の種類やテンポも考慮されています。
保健師になるためには、看護師になるための勉強にプラスして講義・実習を受ける必要があり、保健師課程に進んだ学生たちはかなりハードな日々を送っています。それでも、授業を通して、地域の人々の健康を守る保健師という職業の魅力や重要性を改めて知り、高い意識を持って学生たちは頑張っています! 来年には保健所や保健センター等での臨地実習、そして国家試験に臨みます。