学部学科トピックス
【研究者紹介】「災害看護について
(広域避難 / 高齢被災者 / 継続支援)」 河村 諒 講師
本学の教員が、研究者としてどのような研究をしているかインタビューした「研究紹介」シリーズ。今回は河村 諒 講師です。
健康科学部 看護学科 河村 諒 講師
◆専門分野
成人看護学
◆研究テーマ
災害看護について
(広域避難 / 高齢被災者 / 継続支援)
【動画】
Q 研究内容について教えてください
私は主に災害看護について研究をしています。
現在、取り組んでいるのは東日本大震災後に愛知県に広域避難をされた被災者について、あらゆる職種の支援者たちと連携や協働をしながら、より良い支援の在り方を探っていく研究です。
支援をしていく方たちが被災者の問題解決をしていくうえで、何が障壁となっているのかを考え、スムーズな支援に至らない背景などについて明らかにしてきました。
また、年に数回実施している甲状腺エコー検診や健康相談会などの交流を通じて、広域避難をされた方々が生活をしていくなかでの困りごとを把握し、適切な機関につなぐ役割なども担っています。
Q その研究を始めたきっかけを教えてください
看護師資格を取得したあと、大学病院での勤務中に東日本大震災が起こりました。
看護師として何かできないかと考え、大学院で救急看護や災害看護について専門的に学びました。
実際に福島県や宮城県の被災地域の病院や仮設住宅・避難所などをまわり、支援を必要としている被災者の方たちに「寄り添う」とはどういうことなのかな、と考えるきっかけを得ることができました。
日本ではいつどこで自然災害が起こるかわかりません。災害時こそ心温まるケアが提供できるような研究をこれからも続けていきたいと思っています。
Q その研究が社会にどう貢献されているのか、 または人々の生活にどうつながるのかを教えてください
これまでの研究では、広域避難後の被災者「生活」とはどのようなものだったのかについて明らかにしてきました。
ここでの「生活」とは私たちが想像をしているような日常ではありません。被災者の方たちは震災を経験し、大切な家族や友人を突如として亡くされ、家財や住居などのすべてを失うという想像を絶するような喪失(非日常)を経験されるなかで、今の生活を構築してこられています。
このように生活を再建していくためには、どのようなヒトとの関わりがあり、どのような支援があったのか。一人でも多くの被災者がその人らしく生活を営むためには、看護職はもちろんヒトを対象とする多くの職種の方たちとの連携や協働は必要です。
支援していくうえでの困難やその時の対策などを記録に残し、あらゆる支援者に公表することが重要と考えています。
また、現在は日本災害看護学会認証資格である「まちの減災ナース指導者」という立場で、地域住民や行政職員と防災や減災教育を通して顔のみえる関係作りに努めています。
被災してから生活を考えるのではなく、これまでの知見を活かし被災前から被災後の生活をイメージすることは大切です。
◆高校生へメッセージをお願いします
看護師には、知識や技術はもちろん必要ですが、患者さんに寄り添う人間性がとても大切です。
患者さんから、人に言いにくい悩みや相談をされるような温かい雰囲気を作り出し、患者さんに信頼される看護師をめざしてほしいと思います。
また、教員は学生に一方的に教えることばかりではありません。学生から教えてもらうこともたくさんあります。
そして、学生一人ひとりには必ず強みがあります。自分の特徴をよく知っている学生さんもいれば、まだそこまでに辿り着いていない学生さんも様々です。教員はその強みを伸ばしていくことや自己の課題についても考えていけるように丁寧に関わっていきます。
ともに目標に向かって成長していけるよう、大学で一緒に学びませんか。
プロフィール
健康科学部 看護学科 河村 諒 講師
「阿波踊り」で有名な徳島県出身。
看護師・保健師免許取得後、大学病院で循環器内科、心臓外科、脳神経外科、神経精神科で看護師として勤務。
勤務の傍ら大学院へ進学。学位取得後、大学教員となり、現在に至る。
主な研究は、「災害看護」「解剖学教育」「口腔ケア」。
「まちの減災ナース指導者」として地域住民の減災教育について考え、防災訓練などの実践を通し、地域とのつながりを大切にできるような看護教育をめざしている。