「 あの頃 憧れた
先生のようになりたい 」
生徒が楽しめる授業とは? ②
9月号に引き続き、即戦力として小学校の各教科を教えるために必要な力を実践的に学ぶ授業を紹介します。 学校で学んだことが、明日、そして将来につながるように、小学校は2020年度から新しい「学習指導要領」が始まるのはご存じでしょうか。その一つとして「プログラミング」の学習が開始されます。 本学では、「算数科教育法」の授業の中で体験授業を行い、プログラミング教育について学びます。また、「算数科教育法」では他にも多くの算数に関する授業を行い、子どもたちに算数をしっかり理解してもらえる指導力を養っていきます。その一部をご紹介いたします。
「算数科教育法」 山本 忠 准教授
算数科におけるプログラミング教育
文部科学省は、プログラミング教育を通して育成する思考力を「プログラミング的思考」と呼んでいます。これはプログラミングを行う能力そのものだけではなく、国語や算数などの科目、日常生活、社会に出た後などあらゆる場面で生かすことができる汎用的な能力です。今後小学校教員となれば、授業で子どもたちに教えていく必要があるので、学生は体験授業を通して「プログラミング的思考」を身につけるための指導方法を学んでいます。 今回プログラミング教育の体験授業で使用したのは、子ども向けのプログラミング・ソフトです。たとえば「右へ100歩すすめ」、「左へ30°まわれ」などのブロックをマウスでつなぎ合わせます。これを実行するとネコのキャラクターが、図形を描いてくれます。正方形、正三角形、星形五角形など目的の図形が描けると、学生から歓声の声が上がりました。プログラムでは正しい指示を正しい順に組むことができれば、目的を達成できる一方、そうではない場合はエラーになります。子どもたちは思ったように動けば嬉しいし、うまくいかなければ悔しい思いもするでしょう。失敗を繰り返して成功したときに得られる達成感は、子どもの自信や自己肯定感につながります。この体験授業は子どもの立場からのプログラミングの魅力を知る機会となりました。
数と計算分野の低・中学年の授業
小学校に入ると、1年生はものの個数を数える活動を通して、数の意味について理解し,数を用いることができるようになります。2年生では、数の意味や表し方について理解し,数を用いる能力を伸ばします。今回の授業では「九九表のひみつ」について授業を行いました。児童役の学生の小グループに、九九表を見て何か気づいたことを発見してもらいました。発表された「発見」には「対角線上の数の差が、いつも奇数になっている」、「九の段の一の位の数字が9-8-7-6-5-4-3-2-1になっている」、「九の段の十の位と一の位の数字を足すと、いつも9の倍数になっている」などがありました。不思議な法則が発表されると、他の学生から一斉に驚きの声が上がりました。このようにして、乗法である九九もただ覚えるだけではなく、乗法の意味を理解し、乗法を使うことの良さを実感し、進んで学んでいこうとする児童を育てていく教員になるためにさまざまな角度からの視点を育てる授業に取り組んでいます。
今回ご紹介した先生
文学部 児童教育学科
山本 忠 先生
専門は算数・数学教育。「算数科教育法」のほか、「算数概論」、「数学の世界」などの授業を担当しています。学生が、児童の発表を聞いて、発見、アイディア、考え方などをキャッチできるような先生になってほしいと願っています。
学生の声~「算数科教育法」を学んで行った模擬授業について~
文学部 児童教育学科 児童教育学専攻3年
吉川 楓さん
私たちのグループは3年生の「わり算の意味」について模擬授業を行いました。
3年生の児童が初めてわり算に出会う授業ですから、どうすれば楽しく理解できるかを工夫しました。
クッキーやキャンディーの張り紙を作り、児童が具体物を操作しながらわり算の意味を理解できるようにしました。
算数に限らず、どの授業科目でも児童がどのようにしたら楽しく学ぶことができるのか、また、多くの考えを引き出す発問をし、児童中心の活発で楽しい授業ができるように、これからも学んでいきたいと思います。
文学部 児童教育学科 児童教育学専攻3年
山田 清楓さん
模擬授業を行う前には、グループで話し合い指導案を作成しました。
児童が楽しく取り組めるような板書の仕方を工夫し、黒板の張り紙などの準備作業や、板書の練習などをグループで協力し合って進めてきました。
模擬授業という同じ目的を共有し、みんなで話し合い、助け合って準備作業をしていくのは、楽しい経験となりました。
この後に教育実習があるので、模擬授業で学んだことを生かしていきたいと思います。