児童教育学科

2020年 1月号

同窓生が連携し、
教師としての
力量向上をめざす
「同窓学習会」

本学が大学で教員養成を始めて55年(昭和39年~)。現在、名古屋市内幼・小・中・高等学校勤務の本学卒業生は、270名あまりになります。平成29年度よりその270名の先生方に有志が連絡し、年に3回程度「同窓学習会」とその後交流会を行っています。 「同窓学習会」及び交流会では、同窓生の親睦を図り、連携を密にし、共に教師としての力量向上をめざしています。すべては「子どもたちのために」力を尽くすこと。そのために様々な取り組みを行っています。今月はその同窓学習会でどのようなことを行っているのか、発起人のお一人である大萱純子先生にお話を伺いました。

「同窓学習会」 大萱 純子 先生

同窓学習会とは

会の発端は、平成23年から、名古屋女子大学出身者の校長、教頭、教務主任、教育委員会事務局指導主事で情報交換等のため、定期的に行っていた懇親会にさかのぼります。自分たちが若い頃、同窓生との繋がりがなく、心細かったり、気軽に相談できなかったりした経験から、同窓会があるとよいのではないかとの声が高まり、会を発足しました。今年度からは大学の協力を得て、学舎を会場とすることで学生の参加もしやすくなりました。これまで、臨床心理士等による子どもや保護者理解につながる講演会や、同窓生の校長経験者による学校・教師としての在り方についての講話、また現職教員や講師から今日の課題である道徳科や外国語活動についての講演会を開催してきました。また、名古屋市教員採用をめざす学生と話す機会にもなり、先輩としてのアドバイスをすることで、改めて教師としての初心を確かめることにつながっています。同窓生の皆さんが、学び続ける教師、心にゆとりのある教師として、各勤務地で活躍している様子を見聞きすると、この会の意義を感じます。

学習同窓会

10月7日 講演「通常学級で行う特別支援教育」

10月7日の同窓学習会は「通常学級で行う特別支援教育」をテーマに、名城大学教授・教職センター長でいらっしゃる曽山和彦氏をお招きして講演していただきました。通常学級で行う特別支援教育について、現代の子ども像から、教室でできる特別支援教育の「3STEP」、そして学級内のふれあいづくりのための「縦糸=教師と子どもを結ぶ糸」と「横糸=子ども同士を結ぶ糸」を織るワザについてお話をしていただきました。

ハンカチ理論

王道「ハンカチ理論」。Aさんを支える周りの友達の力は、講師の一人の支援をはるかに超える!

ふれあいづくり

参加者の皆さんは熱心にうなずきながら、メモを取っていました。

アドジャン

「アドジャン」を体験。実際のクラスに戻って行うことの練習につながります。

大萱先生から教師をめざす皆さんへ~めざして欲しい先生像~

変化の激しい時代となっています。学校や教員に求められるものも時代の変化の影響を大きく受けます。その意味からも、変化に対応できる柔軟性やフットワークの軽さ、また広くアンテナを張って「今」を確実に把握しようとする姿勢が必要となると思われます。ただし、教育は「不易と流行」とよく言われます。どんなに時代が変わっても、「子どものために」と力を尽くそうとする志は大きくもって欲しいものです。教師は、子どもの成長、子どもの人生に大きく関わってきます。そのため、「教師となる覚悟」も変わらず求められます。人として子どもたちをしっかり正面から受け止められるよう、人としての自分も磨くことのできる教師は、いつでも魅力に溢れています。

先生

今回ご紹介した先生


大萱 純子 先生

第49回(平成29年)中日教育賞受賞。現在、名古屋市内 公立小学校校長。
~メッセージ~
教育学者のウィリアム・ウォードは『平凡な教師は言って聞かせる。よい教師は説明する。優秀な教師はやってみせる。しかし、最高の教師は、子どもの心に火をつける』と言っています。「子どもの心に火をつける」には、目の前の子どもを丁寧に見取り、どんな子どもに育てたいかというめざす子ども像をもち、「~してあげる」のではなく、伸びていく子どもたちをしっかり支えることです。しかし、そのためにはどうしたらいいのか、キャリアデザインをどう描いたらいいのか、また、女性としてどのようにワークライフバランスをとったらよいのかと迷い悩むこともあるかもしれません。そのような時は、大学はもちろん、私たち同窓生がバックアップします。そのためにも、この「同窓学習会」及び交流会の組織を更に強い絆でつなぎながら、みなさんと一緒に仲間として働く日を楽しみに待っています。

 

学生の声~「同窓学習会」に参加して~

学生

文学部 児童教育学科 児童教育学専攻4年
小木曽 由佳さん

子どもがルールを守るためには教員の振る舞い・声掛けが大切であることを学びました。人間関係づくりは「相手への関心」が第一歩であることを知り、自他理解の活動を通して、不登校児童がいなくなったという事例を知ることが出来て、大変勉強になりました。私は来年から教員として就職しますが、今回のこの講演を通して学んだ「アドジャン」を使って、子どもたちのふれあいの場を作って行きたいです。

学生2

文学部 児童教育学科 児童教育学専攻4年
河野 瑞季さん

今、小中の通常学級には、6.5%の発達障害の可能性がある児童がいると言われています。その中でも気になる子の存在が学級の中で「当たり前」に周りの子の目に映るような温かく優しい「学級文化」を育てることが大切だと学びました。この授業の中で私が教員になったら、一番実践したいと思ったのは「ソーシャルスキル・トレーニング」の一つである「アドジャン」です。朝の会のちょっとした時間でアドジャンを行い、子どもたち同士の横の糸を結んでいきたいと思いました。