管理栄養士への第一歩?!
患者さんに
喜ばれる食事とは?
管理栄養士をめざす健康科学部健康栄養学科ではどのような授業を行っているのでしょうか。
管理栄養士が行う仕事のひとつに、疾病を持った患者さんの食事管理があります。例えば病院で提供する給食や在宅療養を続ける患者さんに対しては、1人ひとりの病状に合わせた食事の提供や、治療意欲を継続、促進してもらえる栄養指導を行わなければなりません。今回、患者さんに喜んでもらえる食事提案する力を養うために、地域栄養士が主催する「栄養相談・調理実習会」に、食物栄養学科(2019年健康科学部健康栄養学科へ改組)2年生の5名(伊藤美穂子助教の基礎ゼミ生)が参加してきました。
管理栄養士の専門業務 「栄養食事療法」ってどんなもの?
実施・継続が困難な腎臓病の食事療法を支援するために
腎臓病が悪化し腎臓の機能が低下していくと、やがて人工透析が必要になります。しかし、食事療法により腎臓への負担を減らすことで、透析を遅らせることも可能です。
腎臓病の食事療法は、他の病気と比べて実施・継続がひときわ困難であるとされています。食事療法で明確な効果を出すためには、患者さんの病態の臨床数値を適宜評価しながら、生活や社会的背景も考慮に入れた上で、「でんぷん米」などの特殊食品を上手に使って、患者さんに合った改善提案をタイムリーに行っていくことが大切です。これには管理栄養士としての豊富な経験や知識が不可欠です。
今回、食物栄養学科(※)2年生の5名が「あいち 臨床栄養」主催の栄養相談・調理実習会に参加し、腎臓病患者さんやそのご家族と一緒に、調理のお手伝いや栄養相談の見学をしてきました。学生たちは、患者さんの病気に対する日頃の思いや、経験豊富な管理栄養士の仕事ぶりを目の当たりにし、臨床現場における実際の患者支援とはどんなものか、理解が深まる機会となりました。
※2019年4月より健康科学部健康栄養学科へ改組
学生考案! 腎臓病患者さんにも喜ばれるデザート
「さつまいも餡のどら焼き」&「カルピスシャーベット」
腎臓病食の献立を立てる際の注意点は、「たんぱく質制限、塩分制限、エネルギーの確保、カリウム・リン制限」です。これらを考慮して、実習1回目はでんぷん米(低たんぱく米)を使った海老ピラフ、キャベツの簡単スープ、野菜サラダを患者さんと一緒に調理しました。デザートの「さつまいも餡のどら焼き」は、腎臓病の患者さんにも美味しく食べて頂けるようにと、学生が考案し提供させて頂きました。さつまいもはカリウムが多い食品ですが、調理過程でしっかりと茹でることでカリウムを減らしたさつまいも餡を作りました。参加者の方からは、「簡単に作れる」「美味しい」とご好評頂きました。
実習2回目は、でんぷん麺を使った、カレー風味の冷やし中華、夏野菜のから揚げ、とうもろこしスープを調理しました。
デザートは今回も学生が作成した「カルピスシャーベット」です。市販のカルピスと季節の果物で作る簡単デザートで、アイスクリームより低たんぱくでエネルギーが取れる一品です。「固すぎず軟らかすぎない触感がいいね」「作り置きが出来る」「孫と一緒に食べられるわ」と、こちらも大好評でした。
学生の声
家政学部 食物栄養学科2年
浅井 希美 さん
今回、プロの管理栄養士さんの栄養カウンセリングを見学させてもらい、患者さんの検査結果や現在の状況から的確なアドバイスをしている姿を見て、私も将来、患者さんに安心して相談してもらえるような管理栄養士になりたいと思いました。
家政学部 食物栄養学科2年
梅田 捺美 さん
腎臓病食は栄養的にも多くの制限がありますが、実際に作ってみて、美味しく食べることができました。これは経験をしてみないとわからなかったことなので、参加できてよかったです。
家政学部 食物栄養学科2年
石川 紗椰 さん
今まで料理を作る時、決められた分量よりも少しくらいなら多くても大丈夫だろうと思っていたけれど、その少しの差が身体に影響することを知り、材料を正確に測ることの大切さを学びました。管理栄養士になるためにはもっと多くのことを学ばなければいけないと思いました。
家政学部 食物栄養学科2年
竹内 愛理 さん
今回の実習で、腎臓病食を患者さんと実際に作り、患者さんの生の声を聞くことができました。現場に行くと知識と経験が重要だと気づかされ、とても勉強になりました。今後も継続して会に参加したい、と思いました。
家政学部 食物栄養学科2年
田中 遥華 さん
腎臓病の特殊食品の調理の難しさを感じました。また、実際に参加者の方の栄養指導を見学することができて、食事療法や人との接し方について、とても勉強になりました。貴重な経験を今後に生かしていきたいです。